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「大学生に起業という選択肢を」日本で唯一の“遊ぶビジコン”を主催するsmileWO代表の「志」インタビュー

「大学生に起業という選択肢を」日本で唯一の“遊ぶビジコン”を主催するsmileWO代表の「志」インタビュー

どんな時代にも社会課題は存在する。しかしその課題を「自分ごと」として捉え、解決するために行動できる人はどれほどいるのだろうか。2021年に日本労働組合総連合会が行った、15~29歳1,500名に実施した「Z世代が考える社会を良くするための社会運動調査2022」(https://dime.jp/genre/1343973/)によると、「社会課題に関心がある」と回答した若者は8割以上に及び、その割合は年齢が若くなるほど増え、高校生が中心となる15歳~19歳に至っては、9割以上が社会課題に関心があると答えている。その関心の先は「いじめ」、「長時間労働(ワーク・ライフ・バランス)」、「自殺問題」、「ジェンダーに基づく差別」、など多岐に渡る。これからの時代を担う新たな世代の若者たちが、どのような経験から社会課題に関心を持ち、行動を起こしているのだろうか。そしてその奥底にある想い、「志」とはどのようなものなのか。社会課題の解決に若い力で挑んでいるZ世代の若者たちへのインタビュー。


#02

吉田志織

Yoshida Shiori
smileWO代表/大学卒業後「起業」という選択肢が当たり前になる世の中を目指して活動中。一人でも多くの学生が遊び感覚でビジコンに参加できるような「遊ぶビジコン」を主催

smileWOでの活動を通して、起業が卒業後の選択肢として当たり前のようにある世の中をつくる


インタビュアー

津田好明

Tsuda Yoshiaki
京都在住。長年教育業界に携わりながらキャリア教育の推進に努めている。
キャリアコンサルタントとして社会人へのインタビュー活動を行い、主著に「動けば変わる」。ゆめや志を掲げた写真を集めてモザイクアートを作成するHOKUSAI志モザイクアートプロジェクト実行委員長。

”起業”を大学生の進路選択のひとつに

早速ですが、吉田さんの「志」を教えてください。

私の志は、「smileWOでの活動を通して、”起業”が学生の卒業後の選択肢として当たり前のようにある世の中をつくる」です。smileWOは私が代表をしている学生団体なのですが、「働き方革命を起こしたい」という思いから立ち上げ、学生にとって「起業」という選択肢が当たり前になるような世の中を実現したいと思っています。

吉田さんがそのように考えたきっかけは何ですか?

私自身も学生の間に起業したいと思っているのですが、起業そのものに興味をもったきっかけは2つあります。1つ目は、高校生の時になんとなくインターン先を探して、企業コンサル会社のインターンに参加していたのですが、その中で、初めて起業というものに出会いました。起業って「かっこいいな」と思い、自分がやりたいことでビジネスをつくり、お金を稼いでいくということに興味がわきました。

2つ目は、高校から大学にかけて、コロナ禍で思った以上に自分の時間ができました。そこで、父が購入して家に置いていた自己啓発やビジネスの本を読み漁っていたのですが、そのときに、資本主義の世の中における労働者の立場やアンフェアな点に驚いて、衝撃を受けました。今まで私が知らなかったことばかり。大学に入ると就活して就職するのが当たり前で、卒業した後は企業への就職以外ほとんど選択肢がない、それが普通になっているという状態にすごくモヤモヤしました。これって何とかできないのかな、学生の間に起業に挑戦することができないかなと思ったんですね。

大学生は就活するというのが基本的なマインドになっているところを打破できないかと思ったのですね。

そうですね。就活をすることもとてもよいと思うのですが、大学4年間の間に就活だけをするのではなくて、それこそ企業活動をやってみたりとか、ビジネスを自分で作って立ち上げてやってみるという活動をする学生をもっと増やしたいと思いました。

素敵な考えですね。先ほど起業している人がかっこいいというお話があったのですが、吉田さんの仰る「かっこいい」とはどのようなイメージですか?

やりたいことを仕事として取り組んでいる人、仕事が生きがいという人、それが必ずしも起業家とは限らないですが、仕事が生きがいであり、自分の時間を自分でコントロールできる人、働き方を自分で決められる人がかっこいいなって尊敬しています。

「遊ぶビジコン」×「伴走」で挑戦しやすい環境を

吉田さんの志を実現させるために、今どのような活動をされているのですか?

今は、ある程度起業やビジネスに興味があるけど行動に移せていないという学生さんを対象に「遊ぶビジネスコンテスト」というものを行っています。具体的には、ビーチでビジネスコンテストをやって、ビジネスや起業に興味がある人たちが楽しく挑戦して学んで成長できる場をつくりたいなと思っています。ゆくゆくは、起業やビジネスそのものに興味をもっていなかった人たちも興味をもてるような仕掛けもしていきたいと思っています。

すごく面白いですね。ビジコンと言ったら、多くの場合はプレゼンを行うイメージを持つと思うのですが、「遊ぶビジコン」ということで、吉田さんが大切にしていることは何ですか?

敷居の低さですかね。ほかのビジネスコンテストはコンペティションのように、1位の人には賞金があって、審査員も経営者の人たちで、すごく「評価されにいく」感じがあって、起業やビジネスに興味があってもビジネスコンテストに参加するのは無理かなと諦めてしまっている学生もいるんじゃないかなと思って。そのような学生に向けて、もっとピースフルに楽しみながらビジコンを提供する。ビジコンで学び・成長する場とビーチの楽しさを掛け合わせたものを「遊ぶビジネスコンテスト」と定義しています。

SmileWOの活動に参加する学生たち

吉田さんがこの活動をやっていてよかったなと思うことはなんですか?

こういったイベントを開催するにあたり、いろいろな方と関われる機会があって、そういった方々によって、自分自身が刺激を受けたり、逆に「頑張ってるね、自分も起業に興味あるよ」と言って下さる人がいたりとか、お互いに助け合って切磋琢磨できる仲間とか、そういった方々とこの数週間で何人もの方に出会えたことが、この活動をやっていてすごくよかったなと思う点です。

お話を聞いていて、学生の選択肢を拡げる最初の一歩を踏み出すきっかけにしてほしいという想いを強く感じました。すでに完成されたものを提示していくというよりも、一緒に作っていく、学んでいくというスタンスを大切に活動されているのですか?

そうですね。私たちのビジコンは、ビジネスプランを考えてきて発表するというものではなくて、1ヶ月かけてビジネスプランをゼロから一にして、そこからブラッシュアップして一緒に100までもっていくという、そのような感じで短期集中で行うビジネスコンテストなんです。一緒に寄り添ってビジネスプランを考えたり発表までもっていくということができればなと思っています。

「仲間ができるビジコン」にこだわる理由

本当に素敵な取り組みをされていらっしゃいますね。大学生がすべて作り上げる運営体制なのですか?

そうなんです。実は私たちのビジネスコンテストは、運営から審査まで、大学生だけで行っています。人によっては、「審査員が大学生って参加するメリットあるの?」って言われたりすることもあるんですけど、審査員が大学生であることによって、参加者が挑戦、参加しやすいコンテストになるんじゃないかと思っています。もっと気軽に学生が参加することができるビジコンを主催したくて。大学生が主催するからこそ、ビーチでビジコンというはっちゃけた、聞いたことのないビジコンができるのかなと思って挑戦しています。

吉田さんの「選択肢を拡げていきたい」という想いが伝わってきました。一般的なビジコンって、大会当日みんなで競い合うというイメージですが、大会運営を通して参加者同士が仲良くなったり、絆を深めていったりする活動なんだなと感じました。

おっしゃる通りで、私たちのビジコンでは、ビジネスプランを考えて起業やビジネスのノウハウを体験できるというところももちろんメリットなんですけど、それと同じくらい”仲間ができるビジコン”という点が特徴的だと思います。ライバルではなく、もっと生涯の友というか、そういう関係を築けるビジコンができるといいなと思って企画しています

もうひとつ聞いてみたいことですが、吉田さんが一番大事にしている価値観とは?

この活動に関わってくださったメンバーや運営の方々、参加者や協力者とのご縁を大切にして、「受けた恩を必ず返す」ということを大切にしたいと思っています。今の段階では始めたばかりのビジネスコンテストで知名度もまだなくて、いろいろな方に伝えていただいたりとか取材をしていただいて助けていただいているので、この恩を忘れず、将来倍にして返すということを大切にしています。その心意気でいるからこそ、ビーチでビジコンも成功させたいと思っていますし、いろいろな目標も達成していけるのではないかと思っています。

一貫して、人とのつながりやそこからいろいろな世界を拡げていきたいということが伝わってきました。
最後に「ビーチでビジコン」に参加してくれる学生や関わってくれる人たちに対して一言あれば教えてください。

このビジコンを通して、得られるメリットはたくさんあると思っています。でもそのメリットは他のビジコンに参加しても得られるメリットだと思うんです。ではなぜこのうちのビジコンに来てほしい、関わってほしいと思っているかというと、”ビーチでビジコン”というのは世界初で、Googleで検索してもトップにsmileWOが出てくるくらい世界で初めての取り組み、挑戦なんですね。これを私は本当に成功させたくて、関わってくださる方や参加者の方たちには関わってくださること自体が本当にありがたいことで、貴重なお時間を投資していただけたらなと思っています。

時間と体力がある大学生の間に起業活動やビジネス関係の課外活動にひたすら挑戦して、経験と学びを増やしていくべきだと思いませんか?smileWOはそんな考えに共感して下さる方々の挑戦の場を提供します。興味がある方はSNSからぜひご連絡ください!

世界で初めてのビーチでのビジコンということですね。活動に参加してくれた人たちとの絆や繋がり、参加した人たちの選択肢がひろがっていく姿が具体的にイメージできました。これからも活動を応援しています!本日は本当にありがとうございました!

※この記事は、インタビュー動画を書き起こし、一部編集したものです。
▼元のインタビュー動画

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この記事を書いた人

KOKOROZASHIマガジン編集部