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「苦しむ子どもたちに居場所を」大会を通して自分が本当にやりたいことを見つけた初代ファイナリストの今

「苦しむ子どもたちに居場所を」大会を通して自分が本当にやりたいことを見つけた初代ファイナリストの今

「誰もが志でつながる世界を創る」を合言葉に2018年から毎年開催されている、世界青少年「志」プレゼンテーション大会(略称:WYK、主催:一般社団法人 志教育プロジェクト)。毎年、10歳〜22歳の若者たちが自分の「志」とその背景を動画に託し、応募する。審査で選ばれたファイナリストたちは、多くの観客が見守る舞台から、自分の「志」を語る。大会で活躍したファイナリストたちは、今、どうしているのだろうか。数年後の彼らを取材するシリーズ「ファイナリストの今」。


#01

千葉依里

Chiba Eri
合同会社むげん学舎代表。第1回世界青少年「志」プレゼンテーション大会(2018年)最優秀賞受賞。岩手県出身、宮城教育大学卒業後、地域おこしの活動をしながら個人事業で塾を開業し、その後社長秘書を経験し現在へ至る。成績向上だけでなく悩みを解決するべく、子と親双方へのマンツーマンサポートを全国で行う。これまでNPOなどの活動でのべ3000人以上の中高生へとキャリア教育支援を行い、意欲ある教育者を増やすべく大学生・若手社会人向けに自己内省の合宿プログラムの企画運営や、教育委員会や学校などで講演活動を行ってきた。第6回WYKでは実行委員を務める。仙台市在住。※大会出場時の名前は千葉百華。

一人ひとりの命が輝く世界をつくるために、
個性を活かし、たくましく生きる人を育む


インタビュアー

北見俊則

Kitami Toshinori
一般社団法人志教育プロジェクト 専務理事。第1回〜第3回世界青少年「志」プレゼンテーション大会実行委員長。志共育公認講師。横浜市立中学校校長時代に、校内で志共育を実践。横浜市の優秀実践校に選ばれる。退職後も地球を救う若者たちが、育ちつながる場を作ることを志に活動を行う。横浜市学校レクセミナー、全国学校レクネットワーク初代代表、一般社団法人公益資本主義推進協議会理事、フェリス女学院大学非常勤講師。

「大会に参加して、本当に泣かなくなりました」

北見

今日は第1回のファイナリストである千葉依里さんに、WYKで何があったか、そして「今の依里さん」にどんな影響を与えているのかについて聞かせていただきたいと思います。

千葉

よろしくお願いします。

北見

依里さんは、 第1回のWYKで最優秀賞を受賞されました。早いもので、もう5年ですね。どんなきっかけでこの大会に出ようと思ったのですか?

千葉

私が大学3年生の時、当時やっていた教育団体のイベント「オール東北教育フェスタ」に北見さんが来て、志共育の体験講座をしてくださったんですね。私自身はそろそろ大学生活も終盤だし、自分の活動を外に広げたいという思いはあったので、まあなんかとりあえず応募してみるかという軽い気持ちで応募しました。1次審査に受かったら何かご縁があるんだろうなぐらいの心持ちで。

北見

大会に応募してみてどうでしたか?

千葉

正直、一次審査と二次審査の時はもうとにかく締め切りに何とか間に合わせないと!という気持ちで必死にやっていました。そこからまさかの通過で、ファイナリストに選ばれて。大会に出てみて、今思うのは、私にとって周りの人たちとの出会いは大きかったですし、それまでの自分は、一時的な感情とか欲求に振り回されていて、その事に気づけたこともとても大きかったです。

その奥にある「本当にやりたいこと」って何だろうということを見つめて、そこで初めて自分自身の生まれた意味や、自分が本当にやりたいことは何かということを考えるきっかけをいただきました。

第2次審査当時の千葉さん

北見

今はそんなこと感じないですが、以前はよく泣いていましたもんね。

千葉

(笑)私の過去のプレゼン動画をみたことがあるという貴重な方はよくわかるかもしれませんが・・そうですね、本当によく泣いてましたね。

北見

講座を受けている中で、心の涙と魂の涙の区別ができていったんだよね。そしたらぱたっと泣かなくなった。あれも劇的だったね。

千葉

本当に自分でもびっくりするくらい泣かなくなりましたね。

「一番変わったのは、両親との関係」

北見

WYKに参加してみて、参加する前と参加した後の涙の種類が変わったということ以外にどんな変化がありましたか?

千葉

今までは、一時的な感情に自分自身が振り回されていて、逆に言えば、突発的な原動力はもともと持っている方だったのですが、精神的に落ち込んだり、元気じゃなくなってしまったりとか、感情の起伏が激しくて、それに左右されて継続して行う力があまりなかったんです。でも、今、独立して会社を立ち上げてやっているのですが、計画的にコツコツと物事を継続的に自然にできるようになってきたのはすごくWYKのおかげかなと思っています。それこそ感情と「本当にやりたいこと」の区別がついてきて。あと、両親との話をプレゼン大会でしたのですが、両親との関係が一番変わりました。

北見

そうだよね。第一回のWYKでプレゼンした時は、お父さんからの DV の中で育ってきて、だからこそ死にたいって思うような辛い子を助けていきたいっていうのが依里さんの志だったんだよね。その大会の後、お父さんとすごくいい関係になっていったよね。

千葉

そうですね。本当にいい関係になったと思います。今は私の事業を両親も応援してくれていますし、本当に参加してよかったです。

北見

それ、依里さんにとって一番大きいんじゃないですか?

千葉

そうですね。やっぱり自分が生きていく中で両親の力って大きいと思っていたのでそこを 解決できたのが自分の中でもとても大きいなと思っています。

北見

WYKに出たことで新しい人との出会いもありましたか ?

千葉

そうですね。そもそも、WYKに関わっている方の中には、自分のことだけ考えて活動している人が誰もいなくって、本当に皆さん仕事や活動の先にいる人のためにとか、社会を良くしたいという思いで熱量を込めて活動している方々ですよね。今年の第6回WYKも文部科学省や外務省の後援がついて、大学生やそれこそ子どもの頃には絶対に出会えなかったような大人の方々といち早く出会えたことは、私にとってすごく大きなことだと思っています。

北見

依里さんはそんな大人たちから得られた学びも吸収して、自身の活動でクラファンに挑戦して、スウェーデンに行ったんだよね。

千葉

はい、北見さんにもすごく応援していただいて、拡散もしていただいたんですけれども、スウェーデンの教育視察に行って学んできたことが、間違いなく今運営している学習塾にも生かされているので、貴重な学びの機会をいただいているなととても感謝しています。なんか1つに言い表せないですよね、WYKに出て得られたことが。本当にちょっとしたご縁だったというか。それがまさかこんな風になるとは。

「上手く見せようっていう自分がいなくなった」

北見

WYKで最優秀を受賞した時、どのようなことを感じましたか?

千葉

まさか自分が最優秀!?という感じでびっくりしました。1次審査と2次審査の動画をみてもらえたらわかると思うんですけど、とてもじゃないですね、プレゼンとして。(笑)

北見

2次審査まではやっと通過したみたいな感じだったと思うんだけど、本番に向けて、何かガラッと変わった印象がありました。何かあったんですか?

千葉

1番大きかったのは、前日から参加した合宿だと思っています。前日にファイナリストが集まってプレゼンのブラッシュアップをしたんですけど、異様なんですよ、集まってくるファイナリストのメンバーが。 皆さん本当に思いがあって、プレゼンも練習してきてるし、大会への思いもすごく感じて、私も「これじゃあかん」と思って。私もプレッシャーを感じて、リハーサルが終わった後、悔しくて泣いていたんですけど、その時が一番変わりましたね。もう、うまく見せようって思う自分はいなくなって。夜な夜なファイナリストと交流できたて、たくさんの学びを持ち帰れました。

前日からの合宿でファイナリストと志を磨きあう千葉さん

北見

そういう”自分をうまく見せたいと思う自分”をリハーサルを重ねる中で手放せたんだね。

千葉

とにかく自分が「何のために生きているのか」っていうことを届ける、というところに立ち帰れたのがすごく大きかったなと思います。

北見

依里さんのプレゼンを聞いた後、会場はすごい感動に包まれたもんね。

千葉

ありがたいですね。 会場の皆さんからも終わってからすごくたくさんの声をいただいて、本当にありがたい機会でした。

▼依里さんの大会でのプレゼン動画はこちら

WYKは「志でつながる仲間づくり」のきっかけ

千葉

北見さんはこの大会の創始者だと思うのですが、どういう想いで立ち上げたのですか?

北見

僕は、このWYKに出るっていうのはあくまでもきっかけだと思っているんだよね。もうこのままじゃ地球やばいって思っててね。みんなで良い世の中をつくろうとしている人たちが、志のネットワークで繋がっていく。1人1人の力は有限なんだけど、この志で繋がった仲間は無限の力を発揮できると思っているんだ。

時が経って、みんなが世界に影響を与えられるような存在や年齢になった時には、もうすでに世界中に仲間がいるっていう、そういう繋がりが作れたらすごいなってね。そのきっかけに、このWYKがなるといいなって。だから依里ちゃんは第1回の最優秀賞受賞者だから、旗印だね。

依里さんは、これからどんなことをしようと思っているんですか?

千葉

今私は「むげん学舎」という塾を仙台市やオンラインを拠点に立ち上げているんですが、ただの月謝制の塾ではなくて、その子の持っている個性や強みを本気で生かして、例えば 勉強や勉強以外のことで目標達成をして、自分自身はこう頑張らせればいいんだっていう自己理解を深める 3ヶ月のプログラムをやっています。それを世の中にどんどん広めていきたいと思いますね。そうしたら、もっと生きるのが楽になる人もいるし、自分が満たされていたら、人を喜ばせられると思うし、そこにいち早く行けると思っているので、私はまずこの事業をしっかりとやっていきたいと思います。

むげん学舎では子どもから大人まで交流できる季節イベントを毎月開催している(千葉さんは右から2番目)

北見

それって3ヶ月でできるの?

千葉

3ヶ月でできることを大事にしていて、徹底して自己理解と目標達成をするようにプログラムを組んでいます。

北見

参加してみたい!

千葉

大人からのニーズがよくあります(笑)WYKに出てみてよく分かったんですけど、人は一人一人与えられた役割があると思っていて、例えば、私とありな(第一回WYKファイナリスト)って、同じように「社会を良くしたい」という思いはあるけれど、お互いに持ってる役割って違うんですよね。誰しも違いを持っているから、人と比べたり一緒だと思ってしまうと苦しくて大変になってしまうので、”みなさん、自分に自信を持って生きていっていいんだよ”ということをこれからも伝えていきたいです。

北見

素晴らしいね。そんな風にそれぞれの役割を分担していけるといいですよね。

今年の大会テーマは「あなたが『本当にやりたいこと』は何ですか?」

北見

これからWYKにチャレンジしようかなと思っている人たちにメッセージをもらえますか。

千葉

自分自身がやりたいことがわからない人こそ、ぜひこの大会を「考えるきっかけ」にしてほしいなと思っています。最後はやっぱり結果が出てしまう大会ではあるんですけど、自分自身の人生の通過点としてみた時に、出てみて「悪いこと」は一つもないなと思っています。1次審査や2次審査でダメだったとしても、自分自身が一度立ち止まる機会を頂いたって思った時に、ここで一歩踏み出したことにすごい成長とか一歩前進があると思います。この記事を見てくださったというのも何かのご縁なので、ぜひ、まずは出してみる(エントリーしてみる)ということをやってみていただけたらなと思います。

北見

嬉しいね。しかも今年は、プレエントリーから始まって、それはあくまできっかけで、本エントリーをすると、「志をどうやって立てるのか」とか 「プレゼンをどうやったらいいのか」っていう動画がもらえる。

千葉

それずるい!(笑)いいですよね、そんな手厚いサポートが!

北見

そして「志を磨く講座」とか「プレゼンを磨く講座」に参加できて、そこに一緒に 参加する人同士が「志」を磨き合えるっていう、そういう場を作ってるので、これはね、お得ですよね。

千葉

そうですね。大会に出るというよりは、講座に出るという気持ちで受けて、「自分自身の志を見つけるぞー!」っていうくらいの。夢は何だろう、やりたいことなんだろうっていうことを探せる、間違いなくいい機会ですね。それが千円で学べるなら。

北見

今年の大会テーマは「あなたが『本当にやりたいこと』は何ですか?」。これを探究していきたいんだよね。

千葉

間違いなく、自分自身が幸せになりますしね、志を見つけた方が。送りましょう、皆さん、ぜひ。プレゼン講座も、これから人に伝える力ってすごく大事になってくると思うので、ぜひそういうことを学べる機会だと思って重たい気持ちではなくて、ちょっとやってみようっていう軽い気持ちで乗り込んで欲しいなと思います。応募待ってます!

北見

ありがとう!大会当日、依里ちゃんも応援に来てくれるかな?

千葉

もちろん、いいともー!

北見

本日は ありがとうございました!

千葉

こちらこそ、ありがとうございました!

第6回世界青少年「志」プレゼンテーション大会プレエントリーはこちら
(2023年7月19日(水)23:59まで)

第6回世界青少年「志」プレゼンテーション大会ホームページはこちら

この記事を書いた人

KOKOROZASHIマガジン編集部